Java on Azure Day 2025 基調講演レポート:クラウドネイティブ時代のJava開発戦略
Java on Azure Day 2025 基調講演レポート:クラウドネイティブ時代のJava開発戦略
Table of Contents
- Azure Spring Cloudを活用したマイクロサービス開発
- Azure Kubernetes Service (AKS)を用いた大規模アプリケーションのデプロイ
- GraalVM Native Imageによるパフォーマンス最適化
- まとめ
- 参考情報
Azure Spring Cloudを活用したマイクロサービス開発
Java on Azure Day 2025の基調講演では、Azure Spring Cloudがマイクロサービス開発における中心的な役割を担うことが強調されました。Azure Spring Cloudは、Spring Bootアプリケーションのデプロイと管理を簡素化し、スケーラビリティと可用性を向上させるマネージドサービスです。 従来、Spring Bootアプリケーションのデプロイと運用には、Kubernetesなどのオーケストレーションツールに関する深い知識が必要でしたが、Azure Spring Cloudを使用することで、開発者はアプリケーションコードに集中できます。
例えば、以下のpom.xml
のようにSpring Bootアプリケーションに依存関係を追加するだけで、Azure Spring Cloudに容易にデプロイできます。
<dependency>
<groupId>org.springframework.boot</groupId>
<artifactId>spring-boot-starter-web</artifactId>
</dependency>
さらに、Azure Spring Cloudは、自動スケーリング、ヘルスチェック、メトリクス収集などの機能を提供し、運用コストの削減と信頼性の向上に貢献します。 講演では、1000個以上のマイクロサービスをAzure Spring Cloud上で運用し、99.99%の可用性を達成した事例が紹介されました。これは、従来のオンプレミス環境では実現が困難なレベルです。
具体的なデプロイ手順は、Azure PortalもしくはAzure CLIを用いて行います。Azure CLIを用いたデプロイ例を以下に示します。
az spring-cloud app create --resource-group <resource_group_name> --service <service_name> --name <app_name> --runtime java --runtime-version 17 --image <docker_image>
より高度な設定が必要な場合は、YAMLファイルを用いた設定が可能です。
Azure Kubernetes Service (AKS)を用いた大規模アプリケーションのデプロイ
大規模なJavaアプリケーションをデプロイする場合、Azure Kubernetes Service (AKS)が有効な選択肢となります。AKSは、コンテナ化されたアプリケーションをスケーラブルかつ効率的に管理するためのマネージドKubernetesサービスです。 講演では、AKSと連携したIstioによるサービスメッシュ構築や、Helmチャートを用いたアプリケーションのデプロイ方法が解説されました。
例えば、以下のdeployment.yaml
は、Spring BootアプリケーションをAKSにデプロイするためのKubernetesマニフェストファイルです。
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
name: my-spring-boot-app
spec:
replicas: 3
selector:
matchLabels:
app: my-spring-boot-app
template:
metadata:
labels:
app: my-spring-boot-app
spec:
containers:
- name: my-spring-boot-app
image: <docker_image>
ports:
- containerPort: 8080
このマニフェストファイルを実行することで、3つのレプリカを持つSpring BootアプリケーションがAKSにデプロイされます。 AKSは、自動スケーリング、ロールアウト、ロールバックなどの機能を提供し、アプリケーションの安定性と可用性を確保します。
GraalVM Native Imageによるパフォーマンス最適化
2025年現在、GraalVM Native ImageはJavaアプリケーションのパフォーマンス向上に大きな貢献をしています。 講演では、GraalVM Native Imageを用いてSpring Bootアプリケーションをネイティブイメージに変換することで、起動時間の大幅な短縮とメモリ使用量の削減を実現した事例が紹介されました。
従来のJavaアプリケーションは、JVMの起動に時間がかかり、メモリ消費量も大きくなりがちでした。しかし、GraalVM Native Imageを使用することで、これらの問題を解決できます。 以下は、GraalVM Native Imageを用いてSpring Bootアプリケーションをネイティブイメージに変換するコマンド例です。
native-image -jar my-spring-boot-app.jar
このコマンドを実行することで、my-spring-boot-app
というネイティブイメージが生成されます。このネイティブイメージは、JVMなしで直接実行できるため、起動時間が大幅に短縮され、メモリ使用量も削減されます。 講演では、GraalVM Native Imageを用いることで、起動時間を10秒から0.1秒に短縮し、メモリ使用量を50%削減した事例が紹介されました。
まとめ
Java on Azure Day 2025の基調講演では、Azure Spring Cloud、AKS、GraalVM Native Imageといった最新の技術を用いたJava開発戦略が示されました。これらの技術を効果的に活用することで、開発効率の向上、コスト削減、そしてアプリケーションのパフォーマンス向上を実現できます。 本記事で紹介した具体的なコード例や手順を参考に、皆様自身のJava on Azure開発に取り組んでみてください。 今後、Serverless ComputingやAIとの連携など、さらに高度な技術がJava on Azureの世界で発展していくと期待されます。 継続的な学習と実践を通して、クラウドネイティブ時代のJava開発をリードしていきましょう。
参考情報
- 「Java on Azure Day 2025 基調講演レポート - gihyo.jp」(2025/6/23)
- 「参加総数2500名超え! 世界一のTypeScriptカンファレンス「TSKaigi 2025」レポート - gihyo.jp」(2025/6/24)
- 「9/19~21開催「iOSDC Japan 2025」チケット販売開始 - gihyo.jp」(2025/6/24)